こだまちゃんの故郷は秋田県と青森県にまたがる広大な原始的ブナ林で有名な「白神山地」です。
白神山地は、今から遠い昔、日本海が隆起して海から生まれました。まだ、地球が今のように温暖で穏やかではなかった頃のことです。 そして、氷河期が終わり約1万年前頃から、こだまちゃんの故郷である白神山地のブナ林が形成されはじめました。
はるかな悠久の時間と、数え切れないほどの命の営みが繰り返され受け継がれ、こだまちゃんはブナの森にひっそりと生きていました。一年のうち半年以上雪で覆われてしまう厳寒の中、落葉をベッドに生き延びてきたと言われています。
厳しい環境の中で生きぬく力がなければ、自然界の中では淘汰されて生きぬくことができません。
1996年秋田県の小玉健吉工学博士は、長年酵母の研究と発掘に携われてこられましたが、文明による開発で自然が破壊され、もはや自然界にあるべき姿の酵母はいないと考えられていたそうです。
そこで、人為的影響の受けていない『白神山地』なら、本来の「自然の生命たち」が存在すると確信をもって、秋田県総合食品研究所(現・秋田県総合食品研究センター)の高橋慶太郎先生とともに、白神山地に入り、穢れない腐葉土を持ち帰り研究が始まりました。
時折『腐葉土』なんて汚いという声をきくことがありますが、大自然の森の中に汚いものは何もありません。
落葉樹が落とした枯れ葉は微生物たちが分解して、100年で1センチほどと言われる豊かな土を作ります。木々の実を食べた野生動物や鳥類が糞をし、それをまた微生物たちが栄養豊かな肥料として豊かな土を作るのです。 そして、種が運ばれることでより豊かな森が育まれ、花が咲き蜜を吸う虫たちによってさらに森は育っていきます。
虫を食べる鳥がいて、実を食べる小動物がいて、それらを餌とする動物がいて、糞が肥料となり多くの微生物たちによって豊かな土壌が生まれ森が大きく育っていく。 森に降った雨は、厚い腐葉土と言う絨毯を潜り抜け栄養豊かな水となって川に流れ、川の生き物を豊かに育てながら、やがて海に流れ出す。 栄養豊かな水が流れる海は、たくさんの微生物や魚介類を育てます。 そして、海からあがった水蒸気が雨雲を作り森に雨をもたらせ、豊かな水を海に送り出す・・・。 これが自然界の循環です。 こだまちゃんは、この大自然の循環の中で命を育んできました。
そして、小玉工学博士と高橋慶太郎先生によって、何千・何万と言う微生物の中から、おいしいパンを焼く酵母としてこだまちゃんが選ばれたのです。
その豊かな森『白神山地』は1993年、屋久島とともにユネスコの世界自然遺産として登録されました。
人為的影響を受けなかったため、そのほとんどが大自然のあるがままに残されていました。
こだまちゃんの故郷は・・・・遠い北国の雪深いブナの森「白神山地」です。